表示登記(区分建物)/区分所有権
区分建物でない建物の一部を有効に売買したときは、当該建物について区分の登記をする前であっても区分所有が成立する
はい。これは区分所有権の話です。
ポイントは、**「区分建物として登記されていなくても、建物の一部を独立した所有権の対象として有効に売買すれば、区分所有が成立する」**ということです。
具体例
1棟の大きな建物があるとします。
┌──────────────┐
│ 1階:店舗A │
├──────────────┤
│ 2階:店舗B │
└──────────────┘
もともとは、この建物全体が1個の建物として登記されています。
ところが所有者が、
「1階部分だけをBさんに売ります」
と売買したとします。
1階部分が、構造上・利用上、独立した建物として使用できる部分であれば、1階部分について独立した所有権の対象とすることができます。
重要なのは「登記がまだなくても成立する」
例えば、
① 売買契約をする
「この建物の1階部分をBに売る」
↓
② まだ区分建物の登記をしていない
↓
それでも、要件を満たしていれば、
③ 1階部分について区分所有権が成立する
ということです。
つまり、
区分建物の登記をしたから区分所有権が生まれるのではない
ということです。
ただし「建物の一部なら何でもOK」ではない
ここが大事です。
例えば、
「この建物の左側の部屋だけ売ります」
と言っても、その部分が独立した建物として利用できないような単なる一室なら、当然に区分所有権が成立するわけではありません。
構造上・利用上の独立性など、区分所有の要件を満たす必要があります。
試験ではこう覚える
区分所有権の成立と、区分建物の登記は別
つまり、
有効な売買+区分所有の要件を満たす建物部分
↓
区分所有権が成立
↓
その後に区分建物の登記をすることがある。
この問題は、「登記をしないと区分所有権が成立しない」と考えると間違いです。
区分建物でない建物の一部は、区分所有しなくても賃貸することができるので、そのことにより区分所有が成立したとは言えない。
はい。さっきの問題とセットで覚えると分かりやすいです。
ポイントは、
「建物の一部を売る」のと「建物の一部を貸す」のは全く違う
ということです。
具体例
1棟の建物があります。
┌─────────────┐
│ 1階:店舗 │
├─────────────┤
│ 2階:住居 │
└─────────────┘
この建物全体は、まだ区分建物ではありません。
所有者Aが、
「1階部分をBさんに貸します」
と賃貸したとします。
Bは1階を自分の店舗として使えます。
しかし、
Bは1階部分の所有者になったわけではありません。
あくまで、
A=建物の所有者
B=1階部分を借りている人
です。
したがって、賃貸しただけでは区分所有権は成立しません。
さっきの「売買」と比較すると
売買の場合
A「1階部分をBに売ります」
↓
独立性などの要件を満たす
↓
Bが1階部分の所有者になる
↓
区分所有が成立
賃貸の場合
A「1階部分をBに貸します」
↓
Bは1階を使用できる
↓
でも所有者はAのまま
↓
区分所有は成立しない
なぜ?
建物の一部は、区分所有権を成立させなくても賃貸することができるからです。
つまり、
「1階をBが独占的に使っている」
=「Bが1階の所有権を持っている」
ではありません。
試験ではこの対比が重要
建物の一部を有効に売買
→ 要件を満たせば区分所有が成立
建物の一部を賃貸
→ それだけでは区分所有は成立しない
なので、
「使っている人=所有者」とは限らない
と覚えておけば、この問題はかなり解きやすくなります。
一棟の建物が甲及び乙の2個の区分建物からなる場合において、その2個の区分建物の隔壁を除去したときは、区分所有は消滅する。
はい。これは**「区分所有の前提となっている独立性がなくなったら、区分所有もなくなる」**という話です。
具体例
マンションの1室をイメージしてください。
もともと、
┌────────┬────────┐
│ 甲 │ 乙 │
│ 101号室 │ 102号室 │
└────────┴────────┘
↑
隔 壁
甲と乙は、それぞれ独立した区分建物です。
- 甲 → Aさんが所有
- 乙 → Bさんが所有
という状態です。
ここで隔壁を取り壊す
AさんとBさんが、
「甲と乙をつなげて、1つの大きな部屋にしよう」
と考えて、甲と乙の間の隔壁を完全に取り除いたとします。
すると、
┌────────────────┐
│ │
│ 甲 + 乙 │
│ 1つの空間 │
│ │
└────────────────┘
となります。
甲と乙をそれぞれ独立した建物として利用できなくなります。
そのため、
甲と乙について成立していた区分所有が消滅する
ということです。
なぜ?
区分所有が成立するには、簡単にいうと、
その部分が構造上・利用上、独立していること
が必要だからです。
隔壁を取り除いて、
甲と乙が一体化
↓
甲と乙の独立性がなくなる
↓
区分所有が成立する前提がなくなる
↓
区分所有が消滅
という流れです。
試験では
「隔壁を除去して、区分建物同士の独立性がなくなった」→ 区分所有は消滅
と覚えておけばOKです。
ただし、単にドアを開けたとか、通路を作っただけで直ちに区分所有が消滅するわけではありません。
ポイントは、区分建物としての独立性を失うほど一体化したかです。
一棟の建物に属する全部の区分建物を区分合併する場合には、区分所有は消滅する。
はい。これはさっきの「隔壁を除去した場合」と似ていますが、**今回は「登記上の区分合併」**の話です。
具体例
1棟のマンションに、
- 101号室 → Aさん所有
- 102号室 → Bさん所有
- 103号室 → Cさん所有
という3つの区分建物があるとします。
┌────────┐
│ 101号室 │ A所有
├────────┤
│ 102号室 │ B所有
├────────┤
│ 103号室 │ C所有
└────────┘
それぞれが独立した区分建物なので、区分所有が成立しています。
ここで「区分合併」をする
例えば、A・B・Cがそれぞれの区分建物を一つにまとめるため、全部の区分建物について区分合併の登記をしたとします。
すると、
┌────────┐
│ │
│ 一つの建物 │
│ │
└────────┘
という扱いになります。
つまり、
101・102・103という複数の区分建物
↓
一つの建物
となるため、区分所有という状態そのものがなくなります。
さっきの問題との違い
ここが重要です。
① 隔壁を除去
実際の建物を物理的につなげる
→ 独立性がなくなる
→ 区分所有が消滅
② 全部の区分建物を区分合併
登記上、区分建物を一つにまとめる
→ 区分建物ではなくなる
→ 区分所有が消滅
なので、この問題では、
「一棟の建物に属する全部の区分建物を区分合併」=区分所有が消滅
と覚えればOKです。
一棟の建物が3個の縦断的区分建物からなる場合において、その中間にある区分建物を取り壊した場合は、区分所有はどうなる?
はい。これは中間の区分建物を取り壊すと、残った2つの区分所有はどうなるかという問題ですね。
結論は、
区分所有は消滅します。
具体例
縦に3つの区分建物が並んでいるとします。
┌─────┐
│ 甲 │
├─────┤
│ 乙 │ ← 中間
├─────┤
│ 丙 │
└─────┘
- 甲 → Aさん所有
- 乙 → Bさん所有
- 丙 → Cさん所有
という状態です。
ここで、真ん中の乙を取り壊すとします。
すると、
┌─────┐
│ 甲 │
└─────┘
↓ 乙を取り壊す
┌─────┐
│ 丙 │
└─────┘
となります。
ここがポイント
甲と丙は、もともと1棟の建物の中にある区分建物でした。
ところが、その間にある乙を取り壊すと、一棟の建物としての状態がなくなります。
そのため、
残った甲・丙についても、元の区分所有関係は消滅する
と考えます。
試験では
3個の縦断的区分建物
↓
真ん中を取り壊す
↓
一棟の建物としての区分所有関係が維持できない
↓
区分所有は消滅
と覚えておけばOKです。
